悔しいなあ。クライマックスはけっこうスピードに乗せられてた。中編版よりも爆発的に加速してる。でも物理的にスピード速い乗り物を描いてるんだからずるい気もするんですけどね……。読んだあとに何かが残るとかそういう類の読書ではない。
ヒリヒリする感覚は充分。約束された結末へひた走るだけのお話。いろんな意味でマルドゥック・ヴェロシティの匂いと似ている。あっちほど狂気に踏み込んでないと思うけど。普通の物語としての体裁はこっちの方が整ってますし。
正直、こういうタイプの小説(言葉を選んだり、言葉の並びから豊穣を生み出したりといった行為が伴わない作法の)はぜんぜん好きじゃないんだけど、本気で書いてるのはわかるので心底嫌うのは無理なんだよなあ。まあ、でも読むのはたまにでいいや。
どうでもいいことだけど、なんで作者の名前はいったん中川なんとかになってたのに、また海猫沢めろんに戻ってるんだろうか。
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