夜になって雨が降りだして、ぼくはそれを電気もつけずに部屋の窓から眺めていた。
片手には畳んだままの布張りの傘を持ち、もう片方の手でビニール傘をさして歩いていくひとりの女を見た。しばらくして、女は来た道を戻っていった。今度は女の隣には男がいて、布張りの立派な傘をさしているのだった。
バス停までお迎えだったんだろう。いいんじゃないかね。たぶん幸せなんだ、あのふたりは。そう思えた。
こう、浮ついた気分が抑えられないときは、ぼんやりした時間を過ごすことも必要だ。少なくともぼくには。
あしたは朝早いので、今日はさっさと寝てしまおう。やるべきことはちゃんとやってあるはずだと思う。
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