奇想コレクション第6弾。もう最近スタージョンがいっぱい出てくれて嬉しすぎ。晶文社からもまた出るらしいですよ!
「ミステリ名作選」とあるように、ジャンルSF以外のものが多い。表題作と「ルウェリンの犯罪」、この2篇は共に、本人にしかわからないある切実な思いと、その哀しい行く末を描いたもので、特にずっしりと心に来ました。しかしもちろんのこと、この短編集におもしろくない作品なんて入ってませなんだ。
「取り替え子」の、バカバカしい設定と展開、そして最後のえもいわれぬ温かな叙情。「ミドリザルとの情事」の、作者を小突き回したくなるようなくだらないユーモア。どれもこれもすばらしい。
思うのだが、スタージョンの小説はたいへん音楽的である。描写はリズムを刻み、物語の旋律は予想もつかぬ高みへと向かう。読者はそれを演奏している気分であって、この心地よさはなればこそ。
あ、巻末にある「短編邦訳リスト」がありがたい。これはデータベースとしての価値十分だと思います。せっかくなら掲載された雑誌の号とかも書いておいていただけるともっと良かったのだけど。たとえば、この本にも収録されている「ニュースの時間です」はSFマガジン579号(2004年7月)に載っておりましたな。
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