こんなところで真面目に憤った文章を書いたって実に仕様もない。そんなことは百も承知だ。がしかし、ロンドンには知り合いが何人もいて、私の心はテロによって千々に乱れた。
私は基本的に、遠くでたくさんの人が死ぬよりも、近くで誰かが仕事に失敗して落ち込んでいるほうが堪えるタイプの人間なので、政治的な思想や行動に精力を傾けるような真似はしない。それでも、自分の属するコミュニティや、自分の好きな人たちの安全や幸福が脅かされるとなったら平静ではいられないし、できることがあればするだろう。
こう書いていて思うが、実はこういう考え方がいちばん危険ではある。テロリスト連中も
「遠くで大勢が死んでも別に痛くないが、自分のコミュニティの危機や自国の貧困に対しては、できることをする」
というわけで、そういう行動を取っているのだ。
想像力がその危険を補わねばならない。遠くで大勢死んでいく人々にも、同じく大切なコミュニティや大切な人々がいる。そんなのはごく当たり前に理解されるべきことなのだが。
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