なんだかよくわからない会場まで迷って迷ってたどり着き、そしてどこかの移民船みたいにぎゅうぎゅうに詰め込まれた場所でそれははじまった。
人に「いまなにしてるの?」とたずね、こちらはさっきも他の人に話した近況を語る。ご飯は少ないし、空調は明らかに人数分の体温による気温上昇に対応しきれていない。そんな中で、繰り返し繰り返し、近況を聞き、語るのだ。こういうのがある程度楽しいというのは、考えてみると不思議ですらある。
それは、おそらくは、世界における自分以外の縦糸の存在を実感するという行為なのだろう。幸せな人や輝いている人を見ると「死んでしまえ」と思うものだが、案外と今日はそうでもなかった。
ただ、こうして自分は何かから離れていけてしまうのだ、という(説明の難しい)感覚を伴うものでもあった。そんなわけで少しメランコリックな後味が残っていたりもする。
自分に嘘をついてでも、一歩もどこかから動かずに、なにひとつ変わらずに、不動の真実と幸せに寄り添って死んでゆきたい。たぶんあらゆる一瞬いっしゅんに、そんなことを考えているのだ。
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