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もりげレビュー


  03年9月前半雑記 Date: 2003-09-01 (Mon) 

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雑記

9月1日
 院試がはじまった友人もいる。ぼくは後悔のない院試前の日々を送れているだろうか? もし落ちたとき、自分を責めずにすむだろうか?

 いや、落ちることなど考えていても仕方がない。それこそ、本当に仕方がない。やってみせなければ。

 この時期になって選曲が悪かったのではないかと悩んでみたり、だめなのです、それでは。

 もうちょっと追い込んで、筆記の勉強もしなくては。フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブックはいつごろのものだったっけ? パヴァーヌとガリアルドの対が主な内容か……。

9月2日
 今日はとある式典へ。敗北したとはいえ、いちおう祝われる立場ではあるのだ。昼間からシャンペンを飲みながら懇談、実りは多かった。

 大作曲家にして日本の音楽界の重鎮ともいえるとあるお方にコメントききに行って、言われた。
「演奏家は音の背中を見ながら弾かないといけません」
 見抜かれているな。
「それができるようにならなくちゃ。できるでしょ?」
 微笑んで言う彼。……できますとも、先生!

 さあ、院試の不安はいくらか解消、か。悔いの残らぬようにやらねば。

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 おもいもよらない女の子からのお誕生日おめでとうメール ○8点

9月3日
 駅貼りポスターのキムタクを熱心にカメラ付き携帯で撮影する女性を見かけた。どうするつもりだろう。
・待ち受け画面にする
・プリンタで印刷してアルバムに貼る
・「私の彼氏です!」と友達へのメールに添付
・むしろキムタクの親への「息子は預かった」メールに添付
 いずれにせよ、彼女の行動はかなり注目を集めていた。

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 >絶望的に頭の悪いニュースって、めっさ笑た。よく見つけたなあ、こんなん。

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 今日気がついたちょっとした恐怖。毎回「もりげ」で検索してくるあなたは誰!? 愛○県に知り合いはおりませぬぞ!?

9月4日
 深堀骨『アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記』読了。書き下ろしは一編だけですが、少なくとも私はミステリマガジンに載っていた作品など読んでいるわけもないので、新鮮な気持ちで読めました。
 というような語り口でまじめに感想を書くのはどう考えてもこの本に似合っていない気がする……。珍妙な発想とばかばかしいギャグ、どうかするとすっかり滑って寒風吹きすさびそうな内容なのに、何だかつい笑いながら面白く読んでしまう。
 読みながら思ったのだが、「ざんす」口調だとか、変な擬音を多用するところとか、氏の作品は朗読に非常に向いている気がする。大真面目に朗読してもらって笑い転げてみたい。「飛び小母さん」のクライマックスの宗教的と言ってもよいほどの美しい情景といったら、それはもうピキャキャキャキャーッ、テケレンテケレンテケテケレンレン、キキキキキーホーキーホーといった感じである。
 たがのはずれた時代劇を見ているような、という形容がどれほど正しいのか自信がないけれど、何となくどこか伝統芸能の香りがするような特異な作風。実際時代劇も出てくるし。作品のレベルにちょっとばらつきがあるように感じたのが残念だったけれど、そうは言ってもどれもこれも楽しめはした。

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 こばげん名義でリンクしていただいているようですが、あの文章はもりげの手になるものです。やっぱりこのサイトは構造がわかりづらすぎるようですな……。
 で、セカイ系についての文章を集めたリンクに入れられてしまったのわけですが(先月13日の文章)、どうもセカイ系という語のベクトルは私がはじめに思ったのとだいぶ違っていたような気がしています。提唱者が更科修一郎氏で、ピュアガールのコラムで書かれた内容であるという話を聞いたり。10代の読者なんかにはカリスマ的存在なんでしょうかね、彼は。上遠野ファンがやたらとセカイ系にこだわっているらしいというのもどうにも謎。中身のないまま用語だけが定着しているような感じだな。

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 縁起でもない検索で来るなー!

9月6日
 いちにちさぼってしまった。いろいろとありまして。

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 鳥人間コンテストは毎年かかさず見ていたりする。
 人力プロペラ機部門が超ハイレベルな争い。去年の2位チームが実に24キロを飛んで、何年も破られなかった大会記録がとうとう更新された。――ところが、あっさりとそれを10キロ近くも塗り替えて琵琶湖大橋に到達する悶絶の大飛行がその直後に成されようとは! その偉大な記録を迎え撃つため、ラストに登場したのは3連覇のかかるチームであった――
 ドラマとしてできすぎなくらいの展開。結局3連覇は惜しいところでならなかったのだが、去年の覇者は最後まで魅せた。

 こういうのがやりたかったのかもしれないな。本当は。とにかく、意味がどうのこうのなんてことは考えなくたって、ああして何かを目指してゆくことは羨ましい。結果が最高のものでなくたって、別に構わない。いや、そりゃ悔しいけれど、でもその悔しさはあしたへの一歩になるから。……青春である。
 本来なら人を羨ましがるような立場でもないかもしれない、と思いなしてみる。目指すものは見えたのだから。鳥人間たちに負けないように青春してみようか。たぶん、やらなきゃ死ぬときになって後悔するだろう。

 あと、鳥人間コンテストの話に戻りますけど、人力ヘリコプター部門は、廃止したほうがいいと思う。滞空時間が2秒台で優勝ってなぁあんまり情けないでしょうに。それはそれでやっぱり青春の輝きかもしれないんだけど。でも、滞空時間2秒の青春はいや。
 ……じゃあやっぱり結果というのもある程度は大事なのか。

9月7日
 精神的に参ってた数年前の自分が書いたらしい(記憶はかすかにある)ポエムのようなものを見つけたりして、ちょっとへこむ。普通こんなん書かんだろう……。

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 ヨハネス・ブラームスがクララ・シューマンへ出した手紙にはこんなことが書いてあったりしたという。
「あなたに出した手紙の中で、愛について語っていない言葉すべてを後悔します」
「ああ、一体あなたは私に何をしたのですか? この魔法を解いてはくださらないのですか?」
 ここまで言っておいて、ロベルト・シューマンの死後クララとの結婚に踏み切れなかったヨハネスはとんでもないヘタレだ。

 ブラームスのヘタレ加減はどうでもいいとしても、こんなふうな手紙を残している作曲家は多いものだ。

 名のある芸術家にはどうにも思い込みの強いのが多い。
 たとえば、自分の失恋を元に交響曲を作ってしまったベルリオーズ。『幻想交響曲』と名付けられたその作品は、自分の回想が妄想へとつながっていく様子をそのまま物語として音楽にしたようなもんだ。
 出会い、ときめき、やってくる幸せ、兆す疑惑……そして一気に破滅へ。恋人を殺した罪で斬首される主人公(ベルリオーズ自身、である)。ちなみに、この斬首のシーンでは、ギロチンの刃が落ちてきて首がころんと転がる様子が見事に音で描写されている。そして主人公は地獄へ。そこではサバトが行われている。その中には元恋人――男をたぶらかした罪でやはり地獄へ落とされ、魔女と化している――の姿もあるのだった……。
 すげえ。妄想爆発ですよ。

 普通に考えりゃ、あらまあこんな曲まで書いちゃってベルリオーズさんたら、こりゃアイタタですわね、で終わるような話。ところがまあ、世の中よくわからないもんで、彼の失恋の相手は自分への思いでこんな大曲を作ってくれたベルリオーズに感激してしまったらしい。で、結果として後にふたりは結婚してたりする。

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 いや、だから何って、能力云々は抜きにして、自分は精神生活の面では割とこういう輩に共感できるようなアイタタな位置にいる――あるいは少なくともいたことはある――ように思える。自分の書いた詩を読む限り。でもね、アイタタなだけでサッパリ能力がない場合、それは芸術家でもなんでもなくて、本当にただのアイタタさんなんですよ。

 だから、ポエムは抹消。もう昔のことだ。願わくは、演奏の糧とならんことを。

9月8日
 食用洗濯鋏「イカったネ」――なぜか頭の中をこの言葉がぐるぐるして困る。イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ! イカったネ!
 ちなみにこれは『アマチャ・ズルチャ』の「バフ熱」に出てくる商品です。

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 アオマツムシの声が耳障りなほどに降り注ぐ並木道を走った。久しぶりに、2本の足で。ほんの数百メートルのことだろうが、息はすっかり上がって、足の関節がなんだか痛む。
 ジョギングでもしてみようか? どうにもここまで運動不足なのはあとあと問題になってきそうな気がするこのごろ。実技の練習をやってる分、しこしこパソコンに向かって文章を書いてるだけ、なんてのよりかましだとは思うけれど。

9月9日
 家を出たついでにお遣いを頼まれることにして、スーパーへ寄った。夕方なのにすごい人出。店側もてんてこ舞いで、レジ一台にバイトが二人がかりでさばいていた。狭いブースの中で、バイトの男の子と女の子がコンビネーションを見せる。
 女の子の方はずいぶんと可愛い子で、なんだよーあれって仕事終わったら男の方が「今日は疲れちゃったね、ちょっと飲んでかない?」なんつって誘っちゃったりするんだろうか。うらやましいなあ。
 なんて思いながら、かばんに入れた玉子を割らないように腰を浮かせて自転車で走れば、頭上は水色から群青色までの色見本みたいなグラデーション。十三夜の低い月が火星を付き従えてやたら大きく見えて、田舎のばか広い車道の真ん中を走りながら見てみたいような空だと思った。
 ふっと白粉花の香りが鼻をつく。夏は夜。このまま月を指さしながら、だれかとずっと散歩するなんて素敵かも。……それにしてもさっきのバイトの子、可愛かったな。

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 だれかこの検索ワードの意味するところを教えていただきたい。

9月10日
 昨日書いた「夕方なのに」はおかしかったか。夕方は一番混む時間帯かもしれない。

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 先日、新聞の投書欄で見つけてひとりで笑った「わたしが太るのは脂ぎった学校給食のせいです。ダイエットの弊害を言う前に給食をなんとかして」という女子中学生の意見。そいつが2ちゃんでコピペになって出回っていてまた笑ってしまった。新聞の投書欄というのは、たまに随分と妙なものが採用されていたりする。あれは見せしめか何かなんだろうか?

 昔、「虫を助けるのが私の仕事」という70歳くらいのおじいちゃんの投書が載っていたときは実に困惑した。彼ときたら、木から落ちた毛虫をアリが運んでいこうとしているのを邪魔して取り上げて、「立派なチョウになりなさい」と助けてあげるのが日課だというだ。さらには、セミの死骸すらもアリから取り上げて「供養」してやる、と言い張るのだから、彼の散歩ルートに生息するアリはとても可哀想なのでした。

9月12日
 昨日もこの雑記は書いたはずなのに、その文章はなぜか失われているようだ。狐につままれたような気分だが、要するに送信ボタンを押し忘れていたということなのだろう。どうも納得がいかないのだけど。

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 今日はジョイントで弾いてきた。以前おなじシリーズのジョイントに出たときに、とある女性のドレスのボタンを留めるのを手伝わせていただいた。その声楽の女性と、実はまた一緒だったのだが、今回はそのようなハプニングには恵まれずに終わってしまい、残念至極であった。
 彼女の歌は実に魅力的なので、いつか共演させてほしいな。とまあこんなところに書いてないで直接言ってみるとするか。

 昨日の雑記で書いた(つもりの)内容として、今回は自らは冷静なまま曲のコントロールを握る、という方向への試みをする、ということがあった。結果としてはある程度満足のいくものになったと思う。
 青春系のキャラクターが板に付いてきた感がある。着実に成長している実感があるというのが、世界理解に対してこれほどに影響するものとは思わなかった。まだまだ今年は経験値を積むための舞台がいくつも残されているので、このまま進ませてもらおう。

9月13日
 ピアノ張弦実習の2回目。まだまだ難しい。

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 深更に及んでカラスが騒いでいる。何事だろうか。カラスのことは好きなので(カラスを肩に乗せた少女がいたら一目惚れするだろう)、気になる。
 今年の春、カラスが我が家の庭に巣を掛けたキジバトの卵を襲った事件があってからは、愛着もいくらか薄れているのだけれど。たかがキジバトでも、子育てを目の前で見せられると味方をしたくなるものなのだ。

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 巫女みこの仮歌バージョンを部屋でひとり聴いてみたら、鳥肌が立ちました。すげえ。

9月14日
 いわゆる同窓会というやつで地元飲み。
 当時は地味で、もてるなどという形容からはほど遠い位置にいたはずの女子が、やたら可愛くなって、自覚はないんだろうけど小悪魔的なキャラクターに変貌していたりする。
 あるいは、若くして女社長になって、六本木のパーティーでカクテルをあおっちゃったりしてるらしい彼女は、ぼくの思い出の中ではテストでしょっちゅう0点を取っては泣いているような子だった。
 10年というのはやはり随分な時間だ。
 お約束の「あの頃だれそれが好きだった」の告白大会になったりして盛り上がる。残念ながら両思いが発覚したカップルは現れなかったけど。そもそも、一番のアイドルだった子が来られなかったのが残念。
 二次会の半ば、ずいぶんと言動が怪しいなと思っていた女性が、結局倒れて消防庁の方々に運び出されていってしまう。彼女と一番話していたうちのひとりはぼくだったと思うので、なぜもっと早くに止めておかなかったのかと悔やむ。意識混濁者の出た飲み会は、初めて。呼吸も脈も正常だったので、大事には至らなかったと思うのだが。

 あの頃から、ぼくは「関係ある人」と「関係ない人」を区別していたような気がするけれど、「関係なかった人」はたいてい、今のぼくにとっても「関係ない人」になっているというのは、やはり、人間の性質は子どもの頃からそれなりに確立されているものだ、ということを示しているのだろうか。

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 結局、チケットはその場では一枚も売れなかった。無料の舞台の方は、来てくれるという人をいくらか獲得。

9月15日
 ひとこと叫ばせてください。ぎゃーーーーーーーーーーー!

 世間というのはいやに狭いらしい。表の顔と裏の顔を一致させられてしまうのは非常に恥ずかしいのですが……。ともあれ、感謝。自分の演奏に対する感想のことばをいただけるという、これほど嬉しいことがありましょうか。

・・・
 夕立が降った。大雨ってなんでこんなに心が躍るのかしらん。


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